チバニアン

地球と宇宙の神秘
画像元:https://www.sankei.com                                          

2017年11月のニュースと、当時書いたBLOG記事&1年後記事

今から約77万~12万6千年前の地球に対する年代名が「チバニアン」(千葉時代)と命名される見通しになった。というニュース報道が世間を賑わせたのは、2017年11月(13日)。報道内容では、「この年代の基準地として千葉県の地層を国際学会に申請し、命名を目指す日本の研究チームが、競合するイタリアを一次審査で破った。これが正式決定すれば地質年代に初めて日本の名前が付く快挙となる。」という事だった。

これは結構凄いこと。地球誕生===>先カンブリア時代===>古生代===>中生代(三畳紀=>ジェラ紀=>白亜紀=>古第三紀)===>新生代(新第三紀=>第四紀:更新世(ジェラシアン=>カラブリアン=>チバニアン=>後紀)=>:完新世=現在)という地球年代を記す名称に、更新世第三紀として千葉県の地層がその代表地層名となる。つまり、今後の世界の教科書に於いて、「およそ77万年乃至12万6千年前の地球年代をチバニアンと言う。この時代名称の基準となった地層は、日本国の千葉県市原市田淵にあり、チバニアン年代に地球人類には、原人類のピテカントロプスや旧人類のネアンデルタール人などがあった。」等々の文章が載る。世界中の少年少女が、テスト答案でチバニアンという言葉を書き、その言葉を覚えた彼ら彼女らの中には、千葉県を訪れる人がきっと出て来る。世界中の子ども達が「チバニアン?」と疑問を持ち、引いては日本に興味を持ってくれるわけで、これ、本当に凄いですね。

ニュース記事では、「来年(=2018年)にも見込まれる正式承認までさらに3段階の審査があるが、過去に作業部会の結論が覆ったのは例外的なケースだけで、事実上の決着となった。」とあるので、選考のライバルだったイタリアの「イオニアン」にひっくり返される心配は殆どないようです。

それでも何が起きるか分からないのも国際社会のこれまでなので、今までは覆られなかったことが、日本に限って覆ってしまうことが100%起きないとは言い切れませんけどね。何か心配なことがあるとすれば・・・

「千葉県の起源は韓国!」とか、(だから)「韓国の地層こそが選定されるべき!」とか「チバニアンという言葉の起源は韓国!」とか・・・、某・地球の起源大国が何か言い出すことくらいですかね。でも、千葉県の起源が韓国とか、チバニアンという言葉の起源は韓国とか、確かに、そんなことを言い出しかねない人たちです。韓国人は、日本(人)の起源は韓国と決め付けていたりしますからね。「千葉の地層の起源は韓国」くらいは(悔しがって)言うでしょうね。

千葉=韓国起源は冗談にせよ、韓国内の地層を必死に調査して、「チバニアンは嘘!」とかは必ず言うでしょうし、韓国の教科書には、正式承認されて以降も「チバニアン」の表記は載らないでしょうしね。ただ、全ての起源国と言う割には、彼らの思い通りにはなかなか行っていない気もしますが・・・

という内容でBLOG記事を書いた1年後の記事では・・・
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そして今年(2018年)の春、チバニアンを強く否定する人たちが何と日本国内から現れて、データねつ造を言い出した。それにより、「イオニアン」主張派が活気づいてチバニアンの審議が中断してしまった。
審査機関内部で喧々諤々の議論があり、紆余曲折したのでしょうけど、今年(2018年)7月末頃のニュースでは、データねつ造疑義の判断が先送りされ、審議が再開したという報道があった。東京五輪開催までには第4次審査も終わり、可否の判断が下される見通しですがどうなることやら。予断を許さない状況にある。決まったら嬉しいけど、もしも否決となれば、地層以上にこの国の人間関係は根深く複雑ということになる?寧ろ、そっちの解明・研究の方が面白い?
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という文章を書く状況に陥った。

2019年9月現在のチバニアン審査(審査申請)状況

先月(2019年8月19日)、千葉セクションGSSPの提案申請書が提出され、第三次審査が開始されたという発表は行われた。けれども、本当に大丈夫なのだろうか?この事と同列に並べて書くのは不謹慎だが、審査(調査)が現地でも行われているのだとしたら、台風被害の影響などなかったのだろうか?尤も、台風の影響程度で自然状態が変質するような地層なら、そもそも候補にも挙がらないだろうけど。

GSSP(国際標準模式層断面とポイント)

地球を知る為の様々な科学(総じて地球科学)の重要性については、当SITEでも「地球科学とヒトの不思議」他の投稿で触れました。誕生(成り立ち)や過去の環境変遷が分かることは、現代社会や未来社会にとって、大変貴重な財産になる。
ユネスコ機関の一つである国際地質科学連合(International Union of Geological Sciences; IUGS)では、地球の成り立ちから現在までの基礎となる「時間の尺度の標準化」を目的として、各年代(=地質時代)の境界を地球上で最も観察・研究しやすい1箇所を認定している。それが国際模式地(=国際標準模式層断面とポイント)で、略すると「GSSP」。つまり、千葉県市原市田淵の養老川岸の地層(=千葉セクション)が、チバニアン時代(約77万年前~約12万6千年前)を知る為の世界標準公認調査ポイントという事になる。「世界の千葉」「地球のチバニアン」である。勿論、現在の日本人の祖先なんてまだ誰も住んでいない当時の事だけど、そういう世界的(地球的)地域に、日本人が誘われて現在の国家を成す暮らしを始めたことが素晴らしい。(そういうことが確定すれば、絶対に隣国人は発狂して、「ねつ造だ!」と叫び続け、覆そうと躍起になるだろうけど。

尤も、 チバニアンのデータを「データ偽装だ!ねつ造だ!」と発狂した人達は、「古関東深海盆ジオパーク認証推進協議会」とかいう、一応は日本人の学者達らしいが、本当に日本人かどうかは知らない。兎に角、チバニアンが正式承認される為の活動をなさっている茨城大学と国立極地研究所の人達の成功を強く願います。まだ、候補地の一つである域を出ていない事も確かなので、国内から邪魔するような上述グループもあるけれど、「頑張って!」。

候補地の一つ?

チバニアンの他に候補地が?その場合の年代名は?先述したけれど、有力な対抗地として挙がっているのがイタリア南部のモンタルバーノ・イオニコ。此処が認定されたら「イオニアン」になる。もう一つの候補地は同じくイタリア南部のヴァレ・デ・マンケ。でも多分、どっちが選ばれても「イオニアン」という年代名が有力。

そもそも、何を基準にした年代なのか?どうして日本とイタリアという遠く離れた地点が候補地なのか?という疑問を持つ人も少なくないと思います。不肖私も、「千葉時代(チバニアン)の解説」というWeb-Siteを読んでようやく理解出来た一人ですが、本当にちゃんと理解出来ているのかは・・・。「千葉時代(チバニアン)解説」のWeb-Siteのアドレスを紹介したいのですが、リンク申請するのもおこがましいので、多分、その名前で検索すれば一発で辿り着く筈なので、是非、そちらのサイトをご訪問なさって下さい。

で、時代の基準は何なのか?まァ、ニュース報道でもさんざん聞かされて知っている人が大半でしょう。けれど、不肖私の備忘録として書いておきます。簡単に言えば、最も最近に地磁気の逆転(つまり、N極とS極の反転現象。南極が北極になる=北極が南極になること)が起こった年代が今から約78万年前、或いは77万年前頃とされ、それが地層に表れている(残されている)のが千葉セクション。地磁気の逆転現象は、過去360万年間で11回という結構高い頻度で起きている。(※地磁気の逆転が起きた時、どういう(破壊的)現象が起こるのかは分からない。それは、科学者達もあまり考えたくないことのようです。)

地磁気の逆転現象が起きるということを世界で初めて唱えた学者は、フランス人の地球物理学者ベルナール・ブリュンヌ。1906年頃の発表だが、まだ、これは説(仮説)に過ぎなかった。しかし、1929年に、地磁気の逆転が起きていることを、兵庫県の玄武洞や支那北東部などで採取した火山岩の磁気測定結果(残留磁化測定結果)を証拠に添えて発表するという日本人の地球物理学者が現れた。当時の京都帝国大学教授の松山基範です。が、当時の世界は、日本人の学者の発表を軽視した。日本人だったからですかね。まだ、米英との戦争は起きてないけど・・・

チバニアンは、日本物理学界のプライドでもある?

しかし、1950年代に入ると、英国を中心にして古地磁気学が著しい発展を見せ、松山博士の発表したデータの正当性が広く認められた。そして、地質時代で最後の逆磁極期(249万年前~72万年前)が、「松山逆磁極期」と命名された(その後、258.1万年前~77万年前と訂正されている)。更に、ブリュンヌ博士の功績と共に松山博士が称えられた年代が、約77万年前。この年代が「松山ーブリュンヌ逆転」と命名されたが、千葉セクション/チバニアンは、今は亡き松山博士の遺志を継ぐ、絶対に日本こそが(誇りをかけて)得なければならない年代名です。それを妙な嫌がらせで邪魔する人達は、とても同じ日本人とは思えない。

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