日露問題とは何か。何が問題なのか。(1)~日米安保という足枷~

対露北方論

完全に萎んだ北方領土返還交渉への期待

竹島は韓国に、色丹・歯舞・国後・択捉はロシアに、それぞれ実効支配を受けている。尖閣諸島は辛うじて実効支配出来ているものの、台湾や支那に領域を侵されることが日常茶飯事。東シナ海のガス・油田も宝の持ち腐れと言うより支那の一方的採掘を許し続けている。
兎に角それらは、「日本固有の領土だ!」と声を大にして叫んでも、”極めて遺憾砲”程度の事で状況は何も変わらない。

近年、特に、第二次安倍内閣発足以降は、日露首脳会談が頻繁に行われるようになり、北方領土返還交渉に大きな進展の兆しが見えているかのように報じられてもいたが、その期待感も露と消えそうだ。最早、ウラジーミル・プーチン氏がロシア大統領でいる間は、誰が日本の首相を務めようと北方領土返還は絶望的な状況と云わざるを得ない。
やっぱり、北方領土問題やそれに大きく関わる平和条約締結は、故ボリス・エリツィン氏が大統領であった時期に果たされるべき事だった。その頃、現在のような「二島先行返還でも致し方ない」という考え方が日本側の大勢を占めていたならば・・・惜しいことだった?
しかし、そのように言えるとするならば、故エリツィン氏のような人がロシアのトップに居座る時代が到来した際には、北方領土返還~平和条約締結の機会が再び訪れる可能性はあるのではないか?

・・・「惜しいことだった?」「あるのではないか?」あくまでも疑問符付きであり、それを信じて待つことは愚かな事かもしれない。”絶望的”という言葉の繰り返しになるけれど、それほど、ロシアと日本の溝は絶望的に深い。とてもじゃないが、指導者次第で埋められるような溝ではない。

ロシアと日本は「大嫌い同士」?

文化・スポーツ交流に於いては、ロシアと日本の間に大きな障壁は特にない。だからと言って、ロシア側に日本好きが多いとか、日本側にロシア好きが増えて来たという事ではなく、文化とかスポーツに政治を持ち込む理由が無いことくらいは互いに知っているから。というだけの事。この点に於いては、全てに於いて政治(歴史含む)を絡ませる陰険且つ執拗な韓国などより、ロシアの方が断然マシで親しみを持てる。

が、個人個人が、外国発祥の文化(言葉、伝統芸能、芸術、食、書物、製品、その他諸々)や武道・スポーツ、棲息する動植物、等々に強い興味や関心を持っていたり、それらに関連する人々に好意を持っていたりする事は珍しい事でも何でもない。現代では全く様相が違っていても、歴史上多大な功績を遺した地域に敬愛の情を示すことも不思議な事ではない。イスラム社会に遺跡採掘に出掛け、支那の伝統工芸品に一喜一憂し、ロシアの音楽・バレエ等々に酔い痴れる・・・けれど、イスラム教も支那もロシアも大嫌いだという人は世界中に無数に存在する。
ロシア人の中に、日本のアニメが好きとか、日本食が好きとか、柔道や相撲が好きとか、スケート選手やその他日本の特定のアスリートやアーティストのファンだという人も大勢いるだろう。だからと言って、親日家とか親日国家として見ようとするのは短絡的過ぎる。

日本の一部に韓流ファンがいても、韓国のごく一部に日本ファンがいても、総体的には互いの国は「大嫌い同士」である。
ロシアと日本の関係もそれと似たようなものである。少なくとも、人間性に於いてロシア人の方が韓国人より断然上。それなのに政治的に大きな溝が埋められないでいるのは、ロシア人から言わせれば、日本人は、日韓関係に於ける韓国人のようなものだから。つまり、自分達の非道ぶりは棚上げして、ロシアを一方的に悪と断じる。そのような日本は、ロシアから見れば、正に、日韓対立に於ける韓国の姿のようにしか見えていない。

でも日本人の多くは、ロシアの歴史や日露関係史ばかりではなく、自国の歴史にさえ興味を持たない。だから、ロシア人やロシア政府が、自分達(日本人や日本国家)を悪く言う(=信用出来ないと言う)理由を全く理解出来ない。歴史を知ろうとする日本人は絶対に増えて行かないし、逆に、今後も「歴史は嫌いだ」という日本人が増えて行くのだから、総じて「ロシアは嫌いだ」という状況は続く。一方、相手(日本)が嫌っているのにロシア側が一方的に好意を寄せる筈もない。なので、日韓関係同様に「大嫌い同士」という日露関係はこのまま続いて行く。

それが結論で、絶対に変わらない不滅の答えであるのなら、「もう、今のままでいいじゃないか」で終わりだ。つまり、北方領土は「戻らない」&「諦める」を認めることになる。政治家も一般国民も、内心ではそのように受け止めている人の方が多い筈。
無論言うまでもなく、元島民の方々や関係者の多くや、その人達を強く支援する人達は、返還されることをずっと信じているし、何も諦めてはいない。「絶対に諦めない」&「必ず返還させる」という声が続く限り、(正義感を振り翳す)マスコミはその声を拾い続けるだろうし、(一票でも多く欲しがる)政治家も北方領土問題には触れ続ける。と言うように、北方領土返還!の声は消えて無くなる事もないだろうけど、日本側には「声」しかないし、ロシア側はそれを聞く「耳」を塞ぎ続ける。目に見える行動など出来る筈もないので、ロシアには、日本の本気度は何も見えてないし伝わらない。実行動が無い抗議は力を持たない。残念ながらそれが現実。

日米安保がある以上、北方領土返還は起こり得ない

政治家も政治・軍事評論家諸氏もそして日本人の多くが分かっているのは、「日米安保(及び日米地位協定)の破棄が無い以上、北方領土返還は実現しない」という事。

しかし、日米安保の破棄は、親米保守派は絶対に認めないし、自民党以外の政党もそこには踏み込まない。

ロシアは、四島を返還する交換条件として、日本が米国に対して結んでいるような安全保障条約の締結を求めるに決まっている。
そして、択捉や国後を、リトル沖縄状態にして、ロシア軍の駐留を強く要求するでしょうね。
そんなことを日本が認めたら、米国は猛然と反発して、経済制裁やら何やら、あらゆる事を日本に対して行うでしょうし、日本は潰される。

ロシアも馬鹿じゃないだろうけど、日本だって馬鹿じゃない。米国の反発予測は容易に出来る。故に、日本側は覚悟を極めて二島(歯舞、色丹)先行返還という名の二島だけ返還でケリをつけてしまおうとした。が、ロシアとしては、太平洋側への出口が制限されるし、そこら辺の海域(歯舞や色丹海域)に米軍が出張って来ることを嫌がった。

結局、二島を還すにも、米海軍が返還海域を自由に航行出来たり、米空軍機が自由に飛行するようなことを日本側が「絶対にさせません」と約束出来るかどうかに大きく左右される。でも、そういう事を、日本が米軍に守らせ切れるわけがない。だから、日米安保を結んでいる限りは二島返還さえ起こらない。これも哀しい現実。

現実、現実って、現実的ではどうしようもないのであれば、非現実的な夢のような話はないものか?
しかし、現実的な話も、非現実的な話も、そもそも、日本とロシアには過去、どのような事が起きていたのか?という事さえ忘れてしまっている人達に目覚めてもらう(思い出してもらう)ことが先ずは肝心なこと。というわけで、何回かに分けて、簡単なロシア史、簡単な日露関係史などを紹介しつつ、北方領土返還や日露平和条約の可能性について怪説します。

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